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Photoshop CS4のカラーマネージメント出力(by i1) [カラーマネージメント]

 Mac OS Xを10.6のSnow Leoardにしましたが、OSを新しくしたときはプロファイルを作成し直すというのが、いちおうのルールです。
 i1によるモニタープロファイル作成は問題なく終了。しかりプリンタープロファイルがうまくありません。エプソンのこちらにもアナウンスがあるように、Photoshop CS4とMac OS 10.5(以降?)では従来設定では問題があるなどの報告もあります。
 これまでi1で作成したプリンタープロフィルをきちんと検証してなかったのですが、設定を変えてチェックしてみました。
 目的は、より正確なプリンタープロファイルを作って、Photoshopでカラマネを行い、プリンタードライバではカラマネをせず出力できる環境を作ること。

 i1とかColorMunkiとかSpyderなどでプリンタープロファイルを作成しようとすれば、とにかくアプリケーションもプリンタードライバも、カラーマネージメントはオフの状態でテストターゲット(ターゲットとは以前の記事で取り上げているカラーパッチのこと)をプリントすることが前提です。その「素」のプリントからプリンターの色再現特性を計測し、プロファイルが作成されます。

 ところが、Photohsop CS4では、どれがカラマネオフなのかわかりにくいです(CS3でもそうだったかもしれませんが、記憶にありません)。
 Photoshopのプリントダイアログを見てみると、それらしきものに「プリンタによるカラー管理」と「カラーマネージメントなし」の2つがあります。一見すると「カラーマネージメントなし」を選ぶのが正解の気がするするのですが、実際にやってみたところ、かなり違う色でプリントされました。

2009091211.jpg
カラマネオフらしきものが2つ。


 そこで検証と相成ったわけです。ついでに、i1のアプリケーション(i1Match)からも、ターゲットをプリントできるので、それも検証します。ちなみにプリンターはエプソンの複合機PM A-950、用紙は写真用紙です。
 以下のように設定を変えてターゲットをプリントします。

i1Macth:
 アプリケーション設定は特になし/プリンタードライバはカラマネオフ
Photohsop CS4:
 カラーマネージメントなし/プリンタードライバはカラマネオフ
Photohsop CS4:
 プリンタによるカラー管理/プリンタードライバはカラマネオフ


 以上の設定で出力したターゲットを一昼夜おいて(染料プリンターなので)、i1で測色し、それぞれのプロファイルを作成しました。

 そのプロファイルをColoSyncユーティリティーおよび、実画像のプリントでチェックします。参考というか指標として、プリンター付属の純正プロファイルも使っています。
 以下結果(ただし実画像の掲載はありません)。


2009091212.jpg
プリンター付属の純正プロファイル。
凸凹がなくきれいな形をしていますが、これはチャンピオンデータだから…?
実際のプリントでは、だいたいモニターに近い状態でプリントされます。
カラーパッチ一つ一つを見ていけば異なる色もありますが、
エプソンの純正プロファイルは、色転びも少なく
全体的にバランスのいいプロファイルを提供してくれます。


2009091213.jpg
i1Macthからのターゲット出力から作成したプロファイル。
純正に比べると狭小です。
実際のプリントでは、かなり濃度が高く階調の少ないプリントになりました。
結果は×


2009091214.jpg
Photohsop CS4はカラーマネージメントなし/プリンタードライバはカラマネオフ
…以上の設定で出力したターゲットから作成したプロファイル。
こちらもいびつで狭小な形をしています。
実際のプリントでは、色乗りが悪く、色再現性も低いプリントです。
結果は×


2009091215.jpg
Photohsop CS4はプリンタによるカラー管理/プリンタードライバはカラマネオフ
…以上の設定で出力したターゲットから作成したプロファイル。
緑〜黄色でいびつな形をしていますが、純正に近い形です。
実際のプリントもなかなかに良好。
i1で補正された分、モニターとプリンターの見え方もかなり近づいているように感じます。
結果は○


 以上、Mac OS X 10.6(Snow Leopard)およびPhotohsop CS4で、Photoshopによるカラーマネージメントを行いたい場合は、以下のようにしてターゲットを出力し、プリント時の設定を行うと良いようです。

1)カラマネソフトによるターゲット出力の設定
 Photohsop CS4で「プリンタによるカラー管理」を選択
 プリンタードライバはカラマネオフ
 以上の設定で出力
 ↓
2)i1でプリンタープロファイルを作成
 ↓
3)Photoshopによるカラマネプリントの設定
 Photohsop CS4で「Photoshopによるカラー管理」を選択
 作成したプリンタープロファイルを選択
 プリンタードライバはカラマネオフ
 ↓
4)モニターの見え方に近いプリントが期待できる


 Photoshop CS4とSnow Leopardでも、プリンター(ドライバ)の種類によって内部的な動きが変わってくるだろうと思います。上記結果は参考までと考えください。
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kiyo

photocycleさん、
どうもです。

少し前から追いかけているOSXと、プリンタドライバと、プリンタキャリブレーションの為の色補正オフの機能の問題について、非常に参考になる話で嬉しいです。
Leopard 10.5からのプリンタドライバと、アプリケーションの立場の変更によって、発生している問題ですが、アプリケーションからの印刷を使う立場しか考慮されていないのがAppleのLeopardからの印刷処理の問題点です。
対応アプリケーションが、自動対応することで、色補正のオン・オフを無くすことが、推奨されているようなのです。

エプソンのプリンタドライバでは大丈夫なようですが、馬鹿正直に、Appleの希望通りにプリンタドライバを変更しているCanonプリンタドライバですと、プリンタドライバ側に、「色補正のオフ」の機能がなくなっています。

どういうことかというと、アプリケーション側で、カラープロファイルを設定した状態から、プリンタドライバ側での二重色補正の危険を避ける為に、アプリケーション側で、カラープロファイルを設定していると、プリンタドライバ側は、自動的に、「色補正オフ」に設定するようになっています。

ところが、色見本のパッチを印刷する場合のように、アプリケーション側も、プリンタドライバ側も、両方とも、「色補正オフ」にする方法がなくなってしまいました。

過ぎたるは、何とかの状態です。
この点は、Canonが理解して、プリンタドライバ側に、「色補正なし」を復活させてくれないと、なんともしようがない状態です。

そして、Snow Leopardになっても、状況は変わらないようです。

by kiyo (2009-12-02 13:45) 

photocycle

kiyoさん>
つまり、色補正なしを強制的に設定してプリントできないというわけですよね。
キヤノンのプリンタって、そうなっているんですか?
いわゆるプロ・ハイアマチュア向けのものも? Windowsも?

勘ぐれば、色補正なしでプリントしたパッチからプロファイルを作っても、カラーバランスが崩れてしまうとか…。そんなことはないか。
あとはメーカー推奨のを設定でプリントするしかないんですね。
色を追求したいユーザーには不便な仕様です。

しかし、この記事とkiyoさんのコメント、一般にはわかりにくそうです。自分も久しぶりに記事を読んで、一瞬戸惑いました。
そういうことがあるから、色補正なしを省略した、というのがメーカーの弁でしょうかね。
by photocycle (2009-12-02 17:12) 

kiyo

さらに調べてみましたが、アプリケーション依存のようです。
Appleからすると、Photoshop(や、多くのプリンタのカラープロファイル独自設定できるアプリケーション達)が、新しいLeopardからのカラーマッチングのもう一段の自動化に対応し切れていないためのようです。
なぜならば、純正のプレビューアプリケーションからだと、カラープロファイルを使用しないで、プリンタドライバからは自動で色補正なしで印刷することができるようらしいです。

つまり、Canonのプリンタドライバからでも、Apple純正の「プレビュー」アプリケーションならば、色見本のパッチを印刷するコトができるらしいです。

必要に応じて、自動処理しろよというコトのようです。
というか、ユーザに、そこまで、判断させるのはイケナイでしょということでしょうか?

確かに、ある特定の用途の場合だけ、アプリケーション側で設定した上で、さらに、プリンタドライバ側でも設定変更するのは、変ですよね。
独自にやるならば、すべて、アプリケーション側の設定だけで、全て用意しないと、ユーザが困りますよというコトだと思います。困ったら、ユーザに、「色補正なし」を選ばせるというのは、Appleの哲学にはない手段でしょうね。(笑い。

Appleの目に見えない主張では、ここまで自動化できないとイケナイというレベルの高い話のようです。
現状のAdobe Photoshop CS4もCS3も、Appleからすれば、その点では、落第すれすれの状況のようです。

ということで、本来は、アプリケーション側の独自印刷機能に、もっと細かい印刷の設定と、プリンタドライバとの協調する機能が必要と言うことのようです。

>しかし、この記事とkiyoさんのコメント、一般にはわかりにくそう
全くです。
たぶん、よかれと思って、行ってきた印刷のカラープロファイルの方法と、さらによかれと思ったAppleの仕様変更が起こした行き違いのトラブルであることは確かです。

by kiyo (2009-12-02 22:25) 

photocycle

確かにアプリケーションとプリンタドライバの両方を設定するというのが、設定時に混乱を招く原因です。
慣れてしまうと、それぞれの挙動をコントロールできるので、むしろ安心ですが、初心者などは一元的に設定できたほうがわかりやすいですね。

「プレビュー」を見ると、アプリケーション側では、埋め込まれた(あるいは指定した)プロファイルに単純に基づいているだけのように見えますね。あとはドライバ側を設定するだけ。これで期待通りの色が出るなら、設定の間違いも減っていいかも。

アプリケーション、プリンタメーカーが、共同でガイドラインを作って、
・元がAdobeRGBならAdobeRGB色域プリント
・元がsRGBならsRGB色域プリント
・プリンタの独自調整プリントa/b/c…
なんてメニューを用意してくれれば。
それでプリンタの種類ごとに(たとえば顔料系、染料系の違いによって)、顔料系ならAdobeRGBやsRGBをデフォルトに、染料系ならプリンタ独自調整をデフォルトにするとか。

それでプロファイルを独自利用したい人は、
・色補正なし
・カスタム設定
が用意されていたり。

これでもやっぱりややこしいですね。
モニタのキャリブレーションの問題もあるし、まだまだ過渡期のようです。
by photocycle (2009-12-03 01:17) 

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