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カメラの設定はsRGBか、Adobe RGBか? [レタッチ]

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ときどき、画像や写真にまつわるあれこれをアップしていきます。
面倒くさい話しも多いので、興味ない人はスルーしてください(笑)。
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●Adobe RGBだからきれい、というわけではない
 デジタルカメラの画像やレタッチの話しをしていると、「sRGBよりもAdobe RGBのほうがきれいだからカメラの設定をAdobe RGBにする」といった声を聞くことがあります。その意見、当たっているようで、厳密には当たっていない…?
 何がきれいなのかを定義する必要はありますが、sRGBで撮られた写真でもきれいな写真はあるし、Adobe RGBで撮られたきたない(?)写真もあります。きれいな写真の定義というのも難しいですが、一般的にはそのテーマに合った明るさや色、構図が表現されている写真ということになるでしょうか。
 では、なぜsRGBよりもAdobe RGBがきれいだ、という誤解が生じているのでしょうか。sRGBとAdobe RGBの大きな違いは、「色域」の広さです。図を見てもらうとわかるように、Adobe RGBのほうがsRGBより1~2周りほど範囲が広くなっています。そしてこれが大事な点ですが、その範囲が外に広がるほどに彩度が上がっています。彩度というのは、色の鮮やかさのことですが、sRGBよりもAdobe RGBのほうが、より鮮やかな色を表現できるということが、「きれいな写真が撮れる」という誤解を生んでいるように思います。
 もちろん、彩度が高ければきれいに見えるケースもありますが、単純に「高彩度が表現できること=きれいな写真」とは言い切れません。高彩度が再現できるほど、低彩度との差が広がりますから、その分、十分な階調表現ができる深度も必要になります。高彩度表現に対して階調が不足すれば、グラデーション部分でバンディングやトーンジャンプが生じやすくなります。RGB256階調の1670万色を考えると、Adobe RGBは、そのへんがギリギリなのかもしれません。ともあれ、単純に彩度だけを取り上げて、写真のきれいさを論ずることは難しいのです。


sa01.jpg
sRGBの色域

sa02.jpg
Adobe RGBの色域

sa03.jpg
sRGBとAdobe RGBの色域の比較
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・sRGBとAdobe RGBの色域の違い。


sa04.jpg
彩度が十分な画像

sa05.jpg
彩度が低い画像

sa06.jpg
彩度のない(-100)画像=モノクロ
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彩度の違い。


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